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    アトモスフィアー

川村哲司に聞く アトモスフィアのエディトリアルデザインの仕事

2018.3.26
杉瀬由希 Photo=池ノ谷侑花

創業17年目を迎えるデザインオフィス「アトモスフィア」。読者を魅了するデザインでエディトリアルの分野に確かな足跡を残してきた同社の、仕事の実際と求める人材について、代表の川村哲司氏に話を聞いた。 【PR】

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――現在のお仕事の内容と状況を教えてください。

仕事は『HERS』『Hanakoママ』などの月刊誌、隔月誌、季刊誌の雑誌がメインで、それと並行して『Dr.クロワッサン』などのムック本や書籍を制作しています。ジャンルはファッションから料理、旅、車、ライフスタイル、健康、育児までさまざまです。他には社内報やCDジャケット、映画のパンフレットなど。エディトリアルのノウハウを活かせる仕事がほとんどですね。最近つくった本の中で一冊挙げるなら、料理雑誌『食べようび』のムック本『ゆる自炊弁当BOOK』かな。第一弾の『ゆる自炊BOOK』同様、料理初心者のためのレシピ本で、イラストでキャラクターを入れたりして雰囲気はゆるいんですが、日本語が読めない人でもつくれるくらい情報がシンプルに整理されたわかりやすい誌面になっていると思います。

仕事量は波があり、いつも忙しいわけではありません。ただ年に何度か、月刊誌や隔月誌、季刊誌などの進行が全部重なることがあるんです。そうなってしまうと、新規の面白そうな仕事の話が来ても受けられない。現在デザイナーは3人、僕を含めて4人なんですが、あと1人、2人いればそうした状況をクリアできると思うので、スタッフを募集することにしました。

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「ゆる自炊BOOK」と「ゆる自炊弁当BOOK」。手書き文字のタイトルやキャラクターなど親しみやすい雰囲気を作りました。

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「ゆる自炊弁当BOOK」誌面。

――実際の仕事のやり方や分担についてはどのような感じなのでしょう?

他のデザイン事務所でエディトリアルの経験がある人でも、事務所によってやり方や考え方はまったく違うので、最初にアトモスフィアのやり方、考え方を説明します。基本的なところを理解してもらって、それをベースに仕事の幅を広げていくというやり方です。案件ごとに窓口になるチーフを決め、その人を中心に、手の空いている人で分担してやる。できる限りその人が興味のある分野や得意そうな分野の仕事をメインに任せたいと思っているので、本人の意欲次第で個性を存分に活かして伸ばすことができますし、本づくりを真剣に勉強したい人にはいい環境なんじゃないかと思います。

――この仕事をする上で大事なのはどんなことですか? また、どういう人が伸びると思いますか?

 一つは、コミュニケーションですね。一人でできる仕事ではないので、みんなで情報をシェアしながら回さないと進みませんし、出版社の編集者ともちゃんと話ができないと。
企画に関して編集者から意見を求められることもあるので、自分の意見を持ち、それを言葉で伝えられることは大事です。デザインのスキルはもちろんあるに越したことはないですが、それはある程度教えることができるので、まず人としての基礎的な力があるかどうか。

二つ目は、疑問を持つこと。言われたままに手だけ動かすのではなく、こう言われたけど本当にこれでいいのか、こうしたほうがわかりやすいんじゃないかと自分の頭で考え、いいと思えばどんどん提案してほしい。見やすい、わかりやすいとはどういうことなのか。その目を養うには日頃から雑誌や本に親しみ、デザイナーの目で見ることが大切です。特に海外の雑誌はトレンドを取り入れるのが早いので、書体や写真、全体のバランスなどを意識して見ながら、日本の雑誌に取り入れられるよう感覚を磨いておくといいでしょう。素人目にはわからないところまでこだわってつくるのがプロの仕事ですから、その意識を忘れず、カタチにすることへの強い気持ちを持って取り組んでほしいですね。

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映画のポスターやCDジャケットなども手がけています。

――どんな人に人と一緒に仕事がしたいですか?

 多分、アトモスフィアでつくるものにはアトモスフィアのカラーがあると思うんです。デザインでいえば、ごちゃごちゃ雑多な感じというよりは、ある程度整理された感じだと思いますし、出版社もこういうデザインをする会社なんだということを踏まえて発注してくれているんだろうなと。その期待にはきちんと応えたいと思っているので、そこに共感してアトモスフィアのカラーが好きだと思ってくれる人と仕事がしたいですね。1冊1冊イメージするカタチをみんなで共有し、一緒に目指していきたい。仕事のサイクルによっては夜遅くなりますし、時間は不規則ですが、それでもここで一緒に本をつくりたい!と思ってくれる方、お待ちしています。

  • アトモスフィア

    本社所在地 〒1500042 東京都渋谷区宇田川町2-1-1008

    代表者   川村哲司

    設立年   2001年

    従業員数  4人

    資本金   300万円

    事業内容  エディトリアルをメインとしたグラフィックデザイン全般

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