• SPECIAL/INTERVIEW 1


    シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティションー舟橋正剛 Masayoshi Funahashi

シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション 特別審査員 舟橋正剛氏 インタビュー

2018.3.12
杉瀬由希 Photo= 池ノ谷侑花

新しいプロダクトデザインを募る「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション(SNDC)」がいよいよ復活する。1999年に第1回を開催して以降毎年開催され、商品化を前提としたコンペティションとして話題を呼んだが、2008年を最後に一旦休止。それから10年の年月を経て、満を持して再開の運びとなった。記念すべき再開第1回目のテーマは「しるしの価値」。長年「しるす」文化の創造に携わってきた企業シヤチハタにとって、原点回帰ともいうべきテーマである。
今回、特別審査員を務める、舟橋正剛氏(一般社団法人未来ものづくり振興会 特別理事/シヤチハタ株式会社社長)に本コンペへの思いを聞いた。【PR】

SPECIAL/INTERVIEW 1

――今回の「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション(以下SNDC)」は10年ぶりの再開となりますが、そもそも最初にこのコンペを始めた時にはどのような思いがあったのでしょうか?

シヤチハタはメーカーではありますが、市場への商品提供は流通業者を介しているため、エンドユーザーと接する機会はほとんどありません。そこで実際にモノを使われる方がどのように思っているのかを掘り下げ、よりニーズにマッチした商品をつくっていきたいと考えたのが、コンペ発足のきっかけです。またリーマンショック以降、文具・印章市場は飽和状態になり、画期的なモノが出しづらい状況になったことも、広く皆さんの意見を聞き、モノづくりの勉強をしたいと考える契機になりました。

SPECIAL/INTERVIEW 1

――10年ぶりにあらためて再開に至った背景を教えてください。

文具や印章は、以前はオフィスでの使用がメインでしたが、リーマンショック以降、個人で購入される方が非常に多くなりました。オフィスで使う文具も気に入ったものを個人で買う方が増えたので、オフィスユースであってもパーソナルな要素が求められるようになり、メーカーはエンドユーザーに直接訴えかけるような商品をつくらなければ生き残るのが難しくなりました。そこで、これまではモノという観点で見ていましたが、より広い視野に立ち、プロダクトそのものだけでなく、その周辺も含めて気付きをいただきたいと思ったのです。
また、最近はよく「モノからコト」と言いますが、スタンプというモノだけにこだわるにはもはや限界があり、モノの先へと広げていかなければ先は見えています。そこが10年前とは違うところで、そうした時代の変化を実感する中で、SNDCの意義をあらためて見出し、再開の運びとなりました。

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――「しるし(印)の価値」というテーマについて思うことと、応募者に期待することを教えてください。

アナログのインキやデジタル認証など、何かを媒体としたマーキングという意味において、「しるし」はシヤチハタのドメインと言えます。その原点とも言うべき地点に立ち返ってリスタートできることは、非常に深い意義のあることだと思っています。

アナログとデジタルの狭間にある今、メーカーとしてはアナログのモノづくりにこだわりを持って品質やデザイン、用途を充実させていくことが当然の使命だと考えているので、そこはもちろん提案していただきたいところですが、デジタルのソフト面におけるビジネスモデルの提案にも期待しています。社会の基幹システムをつくるのはIT専門業者ですが、そこに付加価値を与える存在として互換性のあるものを提供していくことも、今後の我々の役割だと考えています。技術的に実現が難しいものでも、アイデアとしてぜひ意見をいただきたいと思いますし、メーカーとは違う視点からの発想に大いに期待しています。

  • シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション

    ◯ 応募受付期間 
    2018年4月1日 日 ── 5月31日 木 24:00

    ◯テーマ    
    「しるしの価値」。自分であることの「しるし」(アイデンティティ)を表すためのプロダクトもしくは、仕組みをご提案ください。

    ◯応募資格
    ・個人、グループ及び企業、団体。年齢、性別、職業、国籍不問。
    ・入賞した場合、10月12日(金)18時30分から東京都内で行われる表彰式に参加が可能なこと。(交通費補助あり)

    ○審査員
    喜多俊之(プロダクトデザイナー、喜多俊之デザイン研究所 代表)
    後藤陽次郎(デザインプロデューサー、デザインインデックス 代表)
    中村勇吾(インターフェースデザイナー、tha.ltd 代表)
    原研哉(デザイナー、日本デザインセンター 代表)
    深澤直人(プロダクトデザイナー、NAOTO FUKASAWA 代表)

    ○特別審査員
    舟橋正剛(一般社団法人未来ものづくり振興会 特別理事、シヤチハタ株式会社 代表取締役社長)
    岩渕貞哉(「美術手帖」 編集長)

    ◯賞 
    グランプリ1作品(賞金300万円) 準グランプリ2作品(賞金50万円) 審査員賞5作品(賞金20万円)特別審査員賞1作品(賞金20万円)

    ※応募方法、その他詳細は公式サイトをご確認ください。

    http://sndc.design

  • 舟橋正剛 Masayoshi Funahashi

    1965年愛知県生まれ。シヤチハタ株式会社社長で、SNDCを主催する一般社団法人未来ものづくり振興会の代表理事。
    92年米リンチバーグ大学経営大学院修士課程修了後、広告代理店での勤務を経てシヤチハタ工業(現シヤチハタ)に入社。2006年に社長に就任。

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