• 相手と真摯に向き合い、ビジョンを作り上げていくデザインとは?


    むらかみよしみ

相手と真摯に向き合い、ビジョンを作り上げていくデザインとは?

「Job by 美術手帖」×「デジタルハリウッド」のコラボ連載企画「キャリアデザイン・プロジェクト」の第4弾。デザインとは何か──ロゴをつくるだけ、グラフィックデザインをつくるだけではなく、情報をわかりやすく整理し、可視化して相手に伝えること。デジタルハリウッド専門スクールでWebコミュニケーションを学び、現在はフリーランスのデザイナーさらにはクリエイティブユニット「Arrows」としても活躍中のむらかみよしみさんに、現在のお仕事を中心にデザインについての考え方を聞いた。

相手と真摯に向き合い、ビジョンを作り上げていくデザインとは?

“デジタルコミュニケーション”のツールとしてのデザイン

──まず、デジタルハリウッド専門スクールで学ぼうと思った理由を教えてください。

もともと転職をしたくて専門学校を探していました。他の学校だとWebデザインコース、DTPコースと二極化していましたが、デジタルハリウッド専門スクールのデジタルコミュニケーションアーティストコース(現在:本科UI/UXD専攻)は新設で、グラフィックデザインなどにカテゴライズするのではなく、デジタルコミュニケーションとしてデザインやデジタルを使う方法について学べると聞き、選びました。私自身、デザインを広く捉えて、シームレスに、全部わかるようになりたいと思っていましたので。

──具体的にはどのようなことを学ばれたのですか?

グラフィックの基礎となる色彩の勉強や、いわゆるロゴや紙もののデザイン、Webデザイン、広告やアプリ制作、インタラクティブコンテンツなども勉強しました。「自分で企画をして自分でつくる」という、構築まで全てを学んでいたので、同じコースを受けている人でもデザイナーになる人もいればディレクターになる人もいますし、エンジニアになる人もいました。

──卒業制作は何を作られましたか?

「ミステリーレストラン」という、新宿などの繁華街で電子パネルで”騒ぎたい”とか”しっぽりしたい”というリクエストを入れると、周辺何メートル以内のオススメレストランを紹介してくれて、そのままお店の予約ができる仕組みの企画を提案しました。

──Webデザインというよりも企画というニュアンスが強いように思います。

そうですね。デザイン制作のみというよりも、自分で考えて作りたかったからこういう形の卒業制作をしました。他人のアイディアを形にしたり、人がつくったものをプレゼンするというのが面白くないなと思ったので、自分で企画して自分で作りたいと思って、選びました。

──卒業後は?

在学中にチームラボでデザイナーアシスタントとして半年間アルバイトをしていて、そのまま4年半ほどWebデザイナーとして働きました。そのあとは退職をして、FUN UP Inc.という会社で働き、2018年の4月からフリーランスとして働いています。

──チームラボではどのようなことをされていたのでしょうか?

チームラボではデジタルアートの部分が有名になっていますが、デジタルアートを作っているチームとWebやアプリを作っているチームがあって、私はWebやアプリの制作チームでデザイナーとして働いていました。

アート×デザイン──新しい領域の更新

──その後、フリーになってからどのような活動をされているのですか?

Webサイトをつくったり、アプリ制作、ロゴデザインなどをしています。あとはカメラマンとしても活動しています。最近で言うと、デジタルハリウッド株式会社が主催する「近未来教育フォーラム」の2018年のビジュアル全般を、ユニット「Arrows」で担当しました。メインビジュアルとWebサイトやポスター、DMといった印刷物を作ったのですが、まずイベントのテーマを伺って、そこからデザインコンセプトを考えていきました。

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「近未来教育フォーラム 2018」ビジュアル制作

──クリエイティブユニット「Arrows」としてはどのような活動をされているのですか?

私とアーティストの中村という者と2人でやっています。先ほどの「近未来教育フォーラム」のビジュアルでは、絵を描いたのが中村で、それをデザインに落とし込んだのが私です。最近、アート思考、デザイン思考という言葉が使われていますが、アートもデザインも「ビジュアル」というところでは同じなのですが、やっぱり考え方は違うなと。でも、アートとデザインが手を取り合ったら単独ではできないものができると思います。デザインが到達できないところにアートは到達することができるし、アートが伝えることができないことをデザインは伝えることができる。Arrowsでは、そういうことを模索しています。

──それぞれ「アートならでは」「デザインならでは」の部分があるんですね。

そうですね。アートは、感性や思考にうまく触ることができますが、逆に個人的になりすぎてしまう部分もあるので、デザインを通すことによってより多くの人に認知してもらえるものに構築し直すことができるなと思います。

──どちらか一方というよりかは、両方が必要な要素になりますよね。

私達がやりたい表現というのは、アートとデザイン両方の領域なので、どちらも必要だなと思います。もちろんアートだけで出来ることもあるし、デザインだけでアプローチできることもあります。でもそれが交わることで、より深いもの、より広いものになるんじゃないかなと思います。

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リニューアルしたArrowsのブランドサイト

「デザインとは何か」を、伝えていきたい

──村上さんの今後の展望を教えてください。

今はいろんな人がいろんなことをできる時代なのに、それを伝える手段を持ってなかったり、そのやり方がわからない場合が多いので、私が手を動かしてデザインをすることで、目指すゴールに到達できたらと思います。入り口から出口までの流れを提案したり、サイトを考えたり、スムーズな展開を考えたり。デジタルコミュニケーションを含めて、トータルのプロデュースをしていきたいなと思います。

──デザインを通して情報をより多くの人に伝えたいんですね。

情報が受け取りやすいようにすることはデザインのひとつの役割だと思います。あと、Webページをつくる際に、ビジョンを考えたり、頭の中の情報を整理することもすべてデザイン。なので、私自身の肩書をいろいろと考えたんですけど、結局やっていることはデザインだなと思っているので、肩書はデザイナーにしました。
今、デジタルハリウッド専門スクールで講師として教えているのですが、デザインを始めたばかりの人にもデザインというものを広く捉えてほしいなと思います。自分の意思表示としてもデザインは使えるし、他の人に届けるものとしても使える。その上で、デザインの力を使ってアウトプットしていってほしいですね。

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  • むらかみよしみ

    販売員からデジタルハリウッド専門スクールを経てデザイナーに転身。チームラボにてデザイナーとして働いた後、FUN UP Inc.へ転職し、ディレクションや企画、運営などを兼任。現在は、フリーランスとして、デザイン、撮影など多方面で活躍中。クリエイティブユニット「Arrows」としても活動している。

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