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「テクネ 映像の教室」展レポート

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東京ミッドタウンのデザインハブで3月31日まで開催されていた「テクネ 映像の教室」展。「テクネ 映像の教室」とは、ご存知の方も多いとは思うがNHKのEテレで放映されている、クリエイターの卵や映像に興味を持つ若い人たちに向けた新感覚の体験型クリエイティブ・エデュケーション番組である。毎回、映像を作る際にキーとなるテクニックをひとつ特集し、代表的な作品例を古今東西から集めた「テクネ・ワークス」を紹介。その後に「テクネ・トライ」として、その撮影テクニックを使った短編の映像作品をアーティストが作り上げるという構成だ。今回の展示では、これまで放映されたなかから6つの映像技法をピックアップして展示にまとめていた。



入り口ではまず、川村真司氏 (PARTY)が手がけた番組のオープニングに使われているインスタレーションがお出迎え。雑然と並べられた卓上のアイテムに奇妙なペイントが施されており、ある一点から見るとそれがうまく繋がってTECHNEのロゴが浮かび上がるというもの。


これは単に視覚的に面白い効果を狙っているだけではなく、3Dと2Dが混ざり合って完成する、映像という表現媒体の基盤を説明する役割も果たしているようにも感じる仕掛けだ。



会場は「ストップモーション」、「影」、「マルチスクリーン」、「プロジェクション」、「タイポグラフィ」、「クラウドソーシング」の技法ごとに区切られ、それぞれの場所で「テクネ・ワークス」と「テクネ・トライ」、各技法をシンプルに表現した「テクネ・ID」を見ることが出来る。「トライ」のコーナーではアーティストの完成作品と一緒に、メイキングクリップや絵コンテ、アイデアスケッチなども展示され、どのようなプロセスでひとつの映像作品にまとめられていくのかが分かるようになっていた。また、それぞれのコーナーで配布される、映像技法の解説と作品例を簡潔にまとめたカードを揃えれば、小さな教科書として持ち帰ることができる。




「ストップモーション」のような古典的な手法はやっぱり魅力的で、過去の代表作を振り返ることが出来るのもとても勉強になったのだが、「マルチスクリーン」「クラウドソーシング」「プロジェクション」など、新しい技術が一般の人の手にも十分扱えるようになってきた今だからこそ表現出来る手法が目を引いた。面白い映像を作るのはそんなに難しいことじゃないでしょ、と背中を押してくれるような提案ばかりでワクワクした。


アーティスト井上涼氏の作品はプロジェクションマッピングを使用したもので、展覧会期間中に観覧者が描いた「マチルダ先輩」がポップな音楽に合わせてめまぐるしく変化するキュートな作品。


「影」の技法を使ったこちらの作品は、ぐっとアナログ。グラフィックデザイナー辻川幸一郎氏の「くぎかげ」。コーネリアスの楽曲に合わせて釘の影が変化するという、シンプルでありながら強く印象に残る作品だ。


たったひとつの技法を使っても、こんなにも多様な表現が生まれるのかという驚きと気付きを芽生えさせてくれる内容で、しかも、これだったら自分にも出来るかも!と思わせてくれる、映像制作への敷居の再設定が感じられた。21_21の「デザインあ」展と合わせてご覧になった方も多いだろう。どちらの展覧会も、デザインというのは何も特別なことではなく、物事の捉え方と伝え方の工夫次第だ、というアプローチで作られたテレビ番組から発展したもの。テレビから空間的なプレゼンテーションへと軸を分散すること自体も、メディアの重層化を実感出来る試みで、面白かった。誰もがクリエイターとして作品を作り、広く発信出来るようになってきた現代と、プロフェッショナルな方たちの更に新しい展開の仕方を垣間見られる企画として、番組のファンも増えそうだし、展覧会も第二弾を期待したい。


なお、展覧会に出品された作品はもちろん、これまで放送された「テクネ・トライ」や「テクネ・ID」は全てアーカイブとしてウェブページで公開されている。復習も兼ねて、もう一度じっくり楽しんでみてはいかがだろうか。


「テクネ 映像の教室」http://www.nhk.or.jp/bijutsu/techne/index.html


【DESIGNTIDE TOKYO 2012】

会期:2013年3月1日(金)~3月31日(日)

会場:東京ミッドタウン・デザインハブ

URL : http://www.designhub.jp/


(取材/山尾史絵)